||||||| ぶどう灰色かび病防除剤 |||||||
灰色かび病(Botrytis cinerea Persoon)は一般的に開花期の花穂と成熟期の果実に発生することが多く、時には若葉や幼果房、未熟な果実にも発生することがあります。 本病害の発病適温は23℃前後ですが、低温貯蔵中にも発病することから、比較的低温多湿条件で発病しやすい病害だといえます。 品種的にはデラウエア、巨峰、甲州、マスカットベーリーA、キャンベルアーリー等が花穂に発病しやすい品種といわれています。
本病害は多発してしまうと治療薬剤といわれる殺菌剤を用いても十分な防除ができません。 開花期(開花前から)の予防散布を丁寧に行うとともに、発病が見られた花穂や病果は早めに切り落として土中に埋めてください。 特に施設栽培では過湿にならないよう注意し、開花期前後の潅水を控え、地表面にはビニールマルチを行う等の管理も重要です。
今回の農薬通信は現在主に使用されている灰色かび病防除剤を一覧にしてご紹介します。 |
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開花期のぶどう灰色かび病 |
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< ぶどう灰色かび病に登録のある主な薬剤 >
薬剤名
主要成分% |
使用倍率または使用量 |
使用時期 |
使用回数 |
灰色かび病以外の適用病害 |
備考 |
ロブラール水和剤
イプロジオン
50.0% |
1,000〜1,500倍 |
開花期〜幼果期
(収穫60日前まで) |
イプロジオン剤
として3回以内 |
黒とう病
(500〜1,000倍) |
ジカルボキシイミド系
予防
※水和剤常温煙霧登録あり
200g/水10L/10a |
ロブラール500アクア
イプロジオン
40.0% |
1,000〜1,500倍 |
収穫14日前まで |
イプロジオン剤
として3回以内 |
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ロブラールくん煙剤
イプロジオン
20.0% |
くん煙室容積
300〜400m3(高さ2m×床面積150〜200m2)
あたり100g |
開花直前〜幼果期 |
イプロジオン剤
として3回以内 |
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ゲッター水和剤
チオファネートメチル
52.5%
ジエトフェンカルブ
12.5% |
1,000〜1,500倍 |
開花直前〜落弁期まで |
本剤3回以内
チオファネートメチル剤として3回以内
ジエトフェンカルブ剤として3回以内 |
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ベンズイミダゾール系のチオファネートメチル(トップジンM)とベンズイミダゾール系及びジカルボキシイミド系に耐性を示す菌にのみ効果を発揮するジエトフェンカルブ剤との混合剤
治療+予防 |
フルピカフロアブル
メパニピリム
40.0% |
2,000〜3,000倍 |
開花期〜幼果期
(収穫30日前まで) |
メパニピリム剤として
2回以内 |
うどんこ病
(2,000倍) |
アニリノピリミジン系
予防
おうとう隣接園薬害注意 |
フルピカくん煙剤
メパニピリム 15.0% |
くん煙室容積
500m3(高さ2m×床面積250m2)
あたり50g |
収穫30日前まで |
メパニピリム剤として
2回以内 |
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スカーラフロアブル
ピリメタニル
34.0% |
1,500倍 |
収穫21日前まで |
3回以内 |
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アニリノピリミジン系
予防
おうとう隣接園薬害注意 |
スイッチ顆粒水和剤
シプロジニル
34.0%
フルジオキソニル
23.0% |
2,000〜3,000倍 |
収穫30日前まで |
2回以内 |
晩腐病
(2,000〜3,000倍) |
アニリノピリミジン系のシプロジニル(ユニックス)とフェニルピロール系のフルジオキソニル(セイビアー)の混合剤
予防
レタス、おうとう隣接園薬害注意 |
パスワード顆粒水和剤
フェンヘキサミド
50.0% |
1,000〜1,500倍 |
収穫14日前まで |
2回以内 |
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ヒドロキシアニリド系
予防 |
ストロビードライフロアブル
クレソキシムメチル
47.0% |
2,000〜3,000倍 |
収穫14日前まで |
3回以内 |
黒とう、べと、枝膨、晩腐、灰色かび、褐斑病
(2,000〜3,000)
うどんこ、さび病
(3,000倍) |
ストロビルリン系
予防 |
アミスター10フロアブル
アゾキシストロビン
10.0% |
1,000倍 |
収穫45日前まで |
3回以内 |
黒とう、灰色かび、べと、枝膨、晩腐、褐斑病
(1,000倍) |
ストロビルリン系
予防 |
ボトキラー水和剤
バチルス・ズブチリス芽胞 |
1,000倍 |
開花期〜収穫前日まで |
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生物農薬
予防 |
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- 平成15年山梨県果樹病害虫防除暦では開花期の灰色かび病の予防剤としてロブラール、フルピカ、治療剤としてゲッターが採用されています。
- 実際の使用に際しては薬剤ごとの使用基準を守り、適正に使用してください。
- 治療効果のある薬剤はシャープな効果が認められる反面、耐性菌が発生しやすい傾向がありますので連用や多用を避ける事が大切です。
||||||| ワンポイント情報 |||||||
11月4日に出された平成15年度病害虫発生予察報(山梨県病害虫防除所)によると、フェロモントラップにおけるコスカシバの成虫誘殺数は平年よりやや多いため、例年被害の多い園(モモ)ではコスカシバ防除剤(ボーラーカット、トラサイドA)を散布してください。
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