|||||||ブドウべと病防除剤|||||||
べと病はブドウの生育期間中を通して発生が見られ、湿度が高く気温が比較的低い条件下で多発します。 特に生育期前半の組織が柔らかい時期や、窒素過多の園に発生しやすい病害です。
< 品種による抵抗性 >
- 本病害に弱い品種:ネオ・マスカット、甲斐路、マスカットオブアレキサンドリア等の欧州種
- 本病害に強い品種:デラウエア、キングデラ等のアメリカ種
- その中間型品種 :巨峰、ピオーネ、キャンベルアーリー等
本病害は多発してしまうと治療薬剤といわれる殺菌剤を用いても十分な防除ができませんが、展葉5〜6枚時から予防散布をしておくと、それほど防除が難しい病害ではありません。
生育初期からの定期散布(10日間隔)で予防に重点を置いた防除を行ってください。
山梨県では果樹病害虫防除暦を検討する際、近年発生が多く問題となっている晩腐病の防除が重視され、生育期前半の殺菌剤はべと病と晩腐病の両病害に対して効果のある薬剤が採用されています。
今回の農薬通信は現在主に使用されているべと病防除剤を一覧にしてご紹介します。
薬剤名
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使用倍率
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使用時期
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使用回数
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べと病以外の
適用病害
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べと病
に対する効果
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ジマンダイセン
(マンゼブ)
水和剤
75.0%
フロアブル 20.0% |
(水和剤)
1,000倍
(フロアブル)
800〜1,000倍 |
小粒種ぶどう(露地栽培)
収穫60日前まで |
2回以内 |
(水和剤)
晩腐病
褐斑病
さび病
黒とう病
(フロアブル)
黒とう病
晩腐病 |
予防 |
大粒種ぶどう(露地栽培)
収穫60日前まで |
2回以内
(但し開花後1回) |
ぶどう(施設栽培)
開花前まで 2回以内 |
2回以内 |
キノンドー
(ヒドロキシキノリン銅)
水和剤40
40.0%
水和剤80
80.0%
フロアブル
35.0% |
水和剤40
600〜800倍
水和剤80
1,200〜1,600倍
フロアブル
600倍 |
収穫45日前まで |
4回以内
(開花後は1回) |
(水和剤40
フロアブル)
枝膨病
黒とう病
(水和剤80)
黒とう病 |
予防 |
アリエッティ水和剤
(ホセチル 80.0%) |
800倍 |
収穫30日前まで |
3回以内 |
- |
予防+治療 |
アミスター10フロアブル
(アゾキシストロビン10.0%) |
1,000倍 |
収穫45日前まで |
3回以内 |
黒とう病
灰色かび病
枝膨病、晩腐病
褐斑病 |
予防 |
ストロビードライフロアブル
(クレソキシムメチル 47.0%) |
2,000〜3,000倍 |
収穫14日前まで |
3回以内 |
黒とう病
灰色かび病
枝膨病
晩腐病
褐斑病 |
予防 |
3,000倍 |
うどんこ病
さび病 |
サンドファンM水和剤
(マンゼブ 56.0%)
(オキサジキシル 8.0%) |
750〜1,000倍 |
小粒種ぶどう(露地栽培)
収穫60日前まで |
2回以内 |
- |
予防+治療 |
大粒種ぶどう(露地栽培)
収穫60日前まで |
2回以内
(但し開花後1回) |
ぶどう(施設栽培)
開花前まで |
2回以内 |
リドミルMZ水和剤
(マンゼブ 55.0%)
(メタラキシル 10.0%) |
1,000倍 |
小粒種ぶどう(露地栽培)
収穫60日前まで |
2回以内 |
- |
予防+治療 |
大粒種ぶどう(露地栽培)
収穫60日前まで |
2回以内
(但し開花後1回) |
ぶどう(施設栽培)
開花前まで |
2回以内 |
ホライズンドライフロアブル
(シモキサニル 30.0%)
(ファモキサドン 22.5%) |
2,500〜5,000倍 |
収穫21日前まで |
3回以内 |
晩腐病、黒とう病について現在登録拡大準備中です |
予防+治療 |
クリーンヒッター
(TPN 32.0%)
(オキサジキシル 6.4%) |
1,500倍 |
収穫60日前まで |
2回以内 |
晩腐病 |
予防+治療 |
オーソサイド水和剤
(キャプタン 80.0%) |
800倍 |
収穫30日前まで |
2回以内 |
晩腐病
黒とう病
褐斑病
枝膨病
灰色かび病 |
予防 |
アリエッティC水和剤
(ホセチル 40.0%)
(キャプタン 40.0%) |
400〜800倍 |
収穫30日前まで |
2回以内 |
黒とう病
晩腐病 |
予防+治療 |
ICボルドー6-6D
(塩基性硫酸銅 28.1%) |
25〜50倍 |
—
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—
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さび病 |
予防 |
ICボルドー4-8Q
(塩基性硫酸銅 31.2%) |
25〜50倍 |
—
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—
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- |
予防 |
石灰ボルドー液 |
- |
—
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—
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黒とう病 |
予防 |
○実際の使用に際しては薬剤ごとの使用基準を守り、適正に使用してください。
○治療効果のある薬剤はシャープな効果が認められる反面、耐性菌が発生しやすい傾向がありますので連用や多用を避ける事が大切です。
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