||||||| 松枯れの原因と防除 |||||||
近年、松枯れに関するお問い合わせを数多くいただきます。 その原因は天候不順や病害虫によるものなど様々ですが、多くの方が松くい虫ではないのかとの心配をされているようです。
一般に「松くい虫」といわれる松枯れは、実際にはマツノマダラカミキリに寄生するマツノザイセンチュウが松の樹体内に侵入・増殖し、松を弱らせるために起こる松枯れのこと(マツ材線虫病)を指します。 マツノザイセンチュウはマツノマダラカミキリが松の新芽を食害する際に、食害された傷口から侵入し生理異常を引き起こすため松は枯死します。
赤斑葉枯病、すす葉枯病、葉枯れ病、葉ふるい病等、枯死には至りませんが病害を原因とした葉枯れも見られます。
一般には赤斑葉枯病がほとんどですが、昨年は山梨、長野ともすす葉枯れ病が多く見られました。すす葉枯れ病の発生は年により差が大きく、通常はあまり発生が見られませんがその原因は不明で、的確な防除方法も確立されていません。
葉ふるい病は一般にはあまり発生が見られませんが、庭木の衰弱したものに見かけることがあります。今月は松枯れの原因となる病害虫の中から代表的な2種類の病害虫についてご紹介します。
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マツ材線虫病(松くい虫)
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赤斑葉枯病
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発生時期
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初発は9〜11月で、通常急速に病勢が進展し、発生から約1ヶ月後にはほとんど枯死する。
山梨の場合越年してから発生する場合もある。 |
初発は秋。
冬を越し、翌春症状が進展する。
病葉より5月頃から胞子が飛散し始め(空気伝染)10月ころまで続くと考えられている。 |
外観・経過
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病葉は針葉全体が赤褐色に変色し、赤斑葉枯病のように帯や斑点は見られない。
病葉の変色、しおれが始まってから約1ヶ月で樹全体が枯死する。
通常、樹の上部から症状が進む。 |
翌春、旧葉に鮮赤褐色の帯ができる。
旧葉は夏から秋に赤褐変して落葉し、新生葉には小型で褐色の斑点が点在する。
本病で松が枯死することはない。
被害は地面に近い葉に多く、上部ほど被害は軽い。
日照不足で風通しが悪いと発生しやすい。 |
防除
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被害が見え始めてからの治療は、ほとんど効果が期待できないため、予防がポイントとなる。
12月〜3月上旬までの期間に樹幹注入剤を使用する。
5月下旬〜8月上旬にかけて2〜3回の殺虫剤散布を行う。 |
5下旬〜7月上旬(6月に重点)に定期散布を行う。
(春になると旧葉が落葉してしまうマツ葉ふるい病の防除も兼ねるが、この場合は9月の秋雨時期にも防除が必要) |
< 松くい虫の予防方法 >
1.マツノマダラカミキリの防除
防除薬剤: |
マツグリーン液剤 1,000倍液 |
散布時期: |
1回目散布 5月下旬から6月上旬(成虫の発生前から発生初期) |
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2回目散布 1回目散布より約20日後の成虫発生盛期直前(マツグリーンの残効は約20日) |
散布水量: |
1樹あたり3L(樹高10mの場合) |
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○樹冠部を中心に松全体に散布してください。
○松表面に散布してあるマツグリーンにマツノマダラカミキリが触れるだけで効果を発揮します。 |
2.マツノザイセンチュウ防除
防除薬剤:
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グリンガード・エイト樹幹注入 |
処理時期:
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冬季(12月から3月)、1回の処理で3年間効果が持続します。 |
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○使用量は松の太さにより異なります。
○衰弱した松等施工に適さない松もあるため、詳しくは弊社農薬部環境緑化室までお問い合わせください。
TEL 055(235)1968 |
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